10.3969/j.issn.1002-4395.2009.02.006
散逸物語研究の可能性
私たちが現在読むことのできる古典文学の物語は、長い歳月をこえて、たまたま伝えられてきた極めて幸運な作品である.それらの背後には、伝えられることのなかった多くの物語が存在していたのであった.本文の伝わらない物語の実態を知ることは容易ではないが、偶然にも現存する物語や日記などにその題名やストーリーの断片的な手がかりが残されている場合があり、それらの物語を散逸物語と呼ぶ.古代の物語の全体像を考え、物語史を豊かにとらえ直すためには、現存する物語ばかりではなく、散逸物語群の存在をも視野に入れて考察することが肝要である.本稿では、まず散逸物語の研究状況を紹介し、物語に描かれる後宮殿舎を例として散逸物語がひらく研究の可能性をさぐってみる.
現存する物語、散逸物語、物語史、後宮殿舎、桐壺
TP3;S51
2009-06-19(万方平台首次上网日期,不代表论文的发表时间)
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